私は写真を、撮影者によって意味を与えられた固定的なイメージとしてではなく、見る人の身体や場所、時間との関係のなかで、その都度立ち現れるものとして捉えている。

近年は、ヴィンテージのスライド映写機と半透明のアクリル板を用いたインスタレーションを制作している。写真を壁やスクリーンに固定して提示するのではなく、光として空間へ放ち、鑑賞者が小さなアクリル板を手に空間を歩きながら、その光を受け止めることで初めて像の断片が現れる状況をつくっている。

そこでは、作者である私が像の見え方をあらかじめ決め切ることはできない。鑑賞者がどこに立ち、どのように近づき、何を見つけるかによって、現れる像は変化する。私は「何を見るのか」だけでなく、「どのように見るのか」という行為そのものを作品の一部として扱うことで、写真を見ることの身体性と、その不確かさを探究している。

私が関心を寄せているのは、言葉やイメージとして容易に整理することのできないものでもある。すぐには意味に回収できない感情や、アーカイブされることなく取り残された記憶、思考の断片。そうした輪郭を持たないものは、効率や再現性、わかりやすさが求められるなかで、しばしば見落とされてしまう。しかし、見えないことは、存在しないことと同じではない。

私は写真を、「見えるものを記録するための媒体」としてだけではなく、まだ十分には捉えられていないものと出会うための装置として考えている。映写機から放たれた光と、その光を探す鑑賞者の身体とのあいだに、一時的に像が立ち現れる状況をつくることで、見ること、知ること、そして他者と共有することの不確かさを問い直している。

近年はさらに、こうした関心を「見ること」から「撮ること」へ、また写真がつくられるプロセスそのものへと広げようとしている。撮影、現像、展示、鑑賞といった行為を一人の作者のもとに閉じるのではなく、異なる人や場所のあいだで受け渡すことで、写真がどのように変化していくのか。写真を自己表現のためだけの媒体ではなく、完全には理解し合えない他者同士が、それでも何かを受け渡すための媒体として探究していきたい。

Biography

1988年埼玉県生まれ。写真家・現代美術作家。

大学で写真技法を学び、卒業後より制作活動を始める。2018–2021年、美術館を拠点とするアートコミュニケーション事業に参加。2022年、東京藝術大学DOORプロジェクト履修。主な展覧会に、KG+ 2024 個展「Who Gives a Thought」(京都)、2026年「Blow-up」(京都)など。

CV

[学歴]

2011 工学(学士)電気通信大学
2013 工学(修士)電気通信大学

[個展]

2026 Blow-up ( ⚪︎間 | 京都 )
2024 Who Gives a Thought ( ⚪︎間 | 京都 )
2024 Laundry ( Alt_Medium | 東京 )
2023 生活史的風景 ( gallery RooM | 埼玉 )

[グループ展]

2024 第9期フォトアーキペラゴ写真学校修了作品展 ( 高松市美術館 | 香川 )
2024 KG+ × Teramachi kyogoku shopping street art museum collaboration ( mumokuteki cafe | 京都 )
2024 APAアワード2024 ( 東京都写真美術館/京セラ美術館 | 東京/京都 )

[アートプロジェクト]

2024 D-Lab 9次元ダイバーズ ( 台東区芸術文化支援制度対象企画 | 東京 )

[受賞]

2023 APAアワード2024写真作品部門入選

[ワークショップ]

2026 サイアノタイプフォトグラムワークショップ ( 東京 )
2025 サイアノタイプフォトグラムワークショップ ( 東京 )
2022 サイアノタイプフォトグラムワークショップ ( 香音里 | 東京 )

Contact
koba631208<at>gmail.com

最終更新日 2026/08/21